薬剤師が考える健康に大切なこと

緑内障の治療薬② α2受容体刺激薬、β受容体遮断薬

緑内障の治療薬は房水の産生を抑制するか、排出を促すことで眼圧を下げるように作用します。基本的に点眼薬を使用しますが、作用の仕方によりいくつか種類があります。

α2受容体刺激薬

α2受容体を刺激すると房水の産生が抑制されて、更にぶどう膜強膜流出路からの房水の排出が促進されます。この作用で眼圧を下げるのがアイファガン点眼液(一般名:ブリモニジン)です。

アイファガン

アイファガンは1日2回点眼する薬です。他の点眼薬と併用する場合は間隔を5分以上空ける必要があります。アイファガンは点眼薬ですが全身にも作用するので、全身のα2受容体刺激作用による低血圧や眠気、めまいが引き起こされる可能性があります。脳血管障害がある人、起立性低血圧の人、心血管系疾患がある人は服薬にあたり、症状の悪化が起こる可能性があるので注意して服薬する必要があります。
一般的に、アイファガンはプロスタグランジン製剤やβ受容体遮断薬というような他の種類の緑内障治療薬を使用しても効果が見られない場合や、それらの薬による副作用で服薬できない場合に使用する薬です。

禁忌

アイファガンは、本剤成分に過敏症の既往歴がある人、低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児は禁忌です。

 

β受容体遮断薬

β受容体を遮断すると房水の産生が抑制されます。この作用を有する点眼薬としては、チモプトール、リズモン(一般名:共にチモロール)、ミケラン(一般名:カルテオロール)、ハイパジールコーワ(一般名:ニプラジロール)があります。

禁忌

いずれの薬も目だけでなく全身にも作用をします。そのため内服のβ受容体遮断薬と同様に、気管支喘息や気管支痙攣のある人、重篤な慢性閉塞性肺疾患の人、コントロール不良な心不全がある人、洞性徐脈がある人、Ⅱ度Ⅲ度の房室ブロックがある人、心原性ショックがある人はそれらの症状が悪化する可能性があり禁忌になっているため服薬できません。

また、本剤成分に過敏症の既往歴がある人も禁忌になっています。

チモプトール、リズモン

チモプトール、リズモンは1日2回点眼する薬です。しかしチモプトール、リズモンは共に1日1回点眼で済むチモプトールXEとリズモンTGという点眼薬があります。
チモプトールXEとリズモンTGは熱によって薬が固まる(ゲル化する)ようになっています。そのため、眼の中に長く留まり1日1回の点眼で済むようになっています。このゲル化するということから、チモプトールXEとリズモンTG使用の注意点としてベタつきが挙げられます。他の注意点としては、この様にゲル化する薬は他の点眼薬と併用する場合は間隔を10分以上空けること、ゲル化する点眼薬を後に使う必要があることがあります。

ミケラン

ミケランにも眼の中でゲル化させて作用時間を長くしたミケランLAというものがあります。ミケランは1日2回点眼ですが、ミケランLAは1日1回点眼の薬です。
ミケランLAの注意点はチモプトールXE、リズモンTGと同様です。

ハイパジールコーワ

ハイパジールコーワは1日2回点眼する薬で、この薬にはミケランなどのように1日1回の点眼で済む製剤はありません。