認知症の症状には中核症状と周辺症状があり、周辺症状はBPSDとも言われています。BPSDには心理症状と行動症状がありますが、今回は行動症状についてまとめていきます。
BPSDの行動症状には、焦燥性興奮、暴力、徘徊、不穏、性的脱抑制などがあります。それぞれの症状についてみてみます。
焦燥性興奮
焦燥性興奮とは、意識障害に伴う錯乱から生じたのではない不適当な言動をとることとされていて、中等度の認知機能障害がある場合に見られます。
具体的な行動としては、不平を言う、奇妙な音を出す、無視する、物を隠す、部屋の中を行ったり来たりする、言語的暴力、身体的暴力などがあります。この場合の暴力は対象がはっきりせず、まとまりがない行動として示されます。
暴力
BPSDにおける暴力には、叩く、押す、噛む、引っ掻くなどがあり、大声で叫ぶ、かんしゃくを起こす、罵るなどの暴言も含まれます。
このような暴力は、認知機能障害が高度な男性や、対人関係が不得意な人にみられやすい症状です。
暴言に関してはうつ症状や身体的不調と関連していて、アルツハイマー病よりも、性格の変化をきたす前頭側頭型認知症の方が発現しやすいです。
自身の失敗を指摘されたり、非難されて自尊心が傷ついた時、行動を制止されたり命令された時に起こりやすく、介護者の対応で改善することがあります。
また、幻覚や妄想、せん妄などが原因の場合もあり、この場合は薬物療法を検討する必要があります。
徘徊
徘徊は特にアルツハイマー病において長期にわたって認められる症状です。
性格の変化や不安、落ち着いのなさなどの心理症状のために動き回ったり、地誌的失見当識が原因で歩き回ることもあります。また、睡眠障害から徘徊に発展することもあるため、睡眠を良好にコントロールする必要があります。
不穏
穏やかでなく落ち着かない状態を指します。怒り、抵抗などが現れます。
性的脱抑制
不適切な性的言動があっても、あまり多くはみられません。着衣失行、陰部の皮膚疾患、泌尿器疾患が原因で性的問題行動と捉えられる場合もあります。
不自然な自己露出などがみられた場合には、他のことをするなどをして、注意をそらすような対応が必要になります。
以上がBPSDの様々な症状のまとめになります。
BPSDは薬物療法、非薬物療法の介入である程度は改善可能な症状であるといえます。