利尿薬
血圧は心臓から拍出される血液量と血管抵抗性(血液の流れづらさ)によって決まります。血液量が増えたり、血管抵抗性が増加すると血圧が上昇します。血圧を下げるために体内の血液量を減らす薬が利尿薬です。利尿薬はどのようにして血液量を減らすのでしょうか?そのメカニズムをまとめます。
作用機序
利尿薬はその名の通り、多くの尿を体外に出す薬です。では尿が沢山出るとなぜ血液量が減るのか以下にまとめます。
先ず、腎臓で血液を濾して尿の元である原尿が作られます。その後、原尿は尿管を通って膀胱に運ばれます。尿管では腎臓で作られた原尿のほとんどが再吸収されて血液に再び取り込まれます。この再吸収の過程を阻害すれば尿が血液中に取り込まれなくなり、尿量が増えてその代わりに血液量が減少します。その結果として血圧が下がるというメカニズムです。
注意点
利尿薬を服薬すると尿の量が増えるので、トイレの回数が増加します。夜に服薬すると夜中にトイレに行きたくなるので、不眠の原因にもなってしまいます。ですので、利尿薬は日中に服薬するように指示されることが多いです。
また、原尿の中にはナトリウムやカリウムなどの電解質が含まれています。原尿の再吸収が阻害されると、これらの電解質も再吸収されずに体外に排出されて体内の電解質異常が起こる可能性があるので、定期的に血液検査をするなどの注意が必要です。
分類される薬
利尿薬にはいくつか種類があります。代表的な利尿薬にはループ利尿薬、チアジド系利尿薬、抗アルドステロン薬、炭酸脱水酵素阻害薬、浸透圧性利尿薬があります。この中で、炭酸脱水酵素阻害薬と浸透圧性利尿薬は高血圧には使用されません。
薬によって尿管の作用する場所や作用の仕方が違います。次回はそれぞれの利尿薬の特徴をまとめていきます。