今回は、慢性期の深い褥瘡(D)の治療のうち、G→g(肉芽組織の形成促進)についてみていきます。
肉芽組織の形成促進には、外用薬かドレッシング材を使います。
肉芽組織の形成促進に使われる外用薬には、イサロパン外用散(一般名:アルクロキサ)、オルセノン軟膏(一般名:トレチノイントコフェリル)、フィブラストスプレー(一般名:トラフェルミン)、アクトシン軟膏(一般名:ブクラデシン)、プロスタンディン軟膏(一般名:アルプロスタジルアルファデクス)、ソルコセリル軟膏(一般名:幼牛血液抽出物)、リフラップ(一般名:リゾチーム塩酸塩)などがあります。
以下に、それぞれの薬についてまとめていきます。
イサロパン外用散
皮膚への刺激が少なく、血管新生促進作用、創面の乾燥化促進作用、肉芽形成促進作用、表皮再生促進作用、創面縮小作用を有します。
基剤の滲出液減少効果は弱いので、滲出液が多いときは使用を控えます。
オルセノン軟膏
血管新生促進作用、細胞遊走促進作用、細胞増殖促進作用、肉芽形成促進作用、結合組織成分の増加作用を有します。
乳剤性基剤を使用しているので、滲出液が多いときは浮腫を引き起こす可能性があります。
薬の色が黄色で、感染と見間違えやすいので注意が必要です。
フィブラストスプレー
血管新生促進作用、肉芽形成促進作用、細胞増殖促進作用を有します。
添付されている溶解液で溶解し、専用の噴霧器を使って噴霧します。1日1回、創面から約5cm離して、創面全体に薬がいきわたるように5噴霧します。
このように、フィブラストスプレーは他の薬と比べると使用方法が難しい薬で、溶解後は10℃以下で保管し、溶解後の期限は2週間です。
薬効の評価については、約4週間を過ぎて効果が見られない場合は他の薬を検討します。
また、この薬はスプレータイプで、創部の浸潤環境が維持しにくいため、他の外用剤やドレッシング材を併用することがあります。他の薬と併用する場合は、フィブラストスプレーを受容体に結合させるために、スプレー噴霧後30秒間は放置するようにします。
今回は、肉芽組織の形成促進のために使用される外用薬の一部についてまとめました。
次回は、残りの外用薬についてまとめていきます。