日本の乳癌罹患率は、1960年代から継続して増加しています。増加の原因には様々な可能性が考えられます。
ここでは、乳癌の原因因子と予防因子についてまとめていきます。
乳癌の原因因子として考えられるものには、肥満、飲酒、喫煙、高身長などがあり、予防因子として考えられるものには、授乳、運動、イソフラボンなどがあります。
今回は、乳癌の原因因子についてみていきます。
尚、日本と欧米の研究データに違いがあるので、それぞれのデータを比較しながらまとめていきめす。
肥満
肥満と乳癌の関係については、日本と欧米の研究データに違いがあります。欧米のデータ(WCRF/AICR)では、閉経後の乳癌の発症リスクは高くなりますが、閉経前の乳癌の発症リスクは低くなるとされています。
一方、日本のデータでは閉経前後に関わらず、肥満により乳癌の発症リスクは高くなるとされています。
肥満はその他の生活習慣病の発症リスクを高めることと、日本人のデータでは閉経に関係なく発症リスクが高くなることから、肥満にならないような生活をすることが大切といえます。
尚、肥満の指標としてはBMIが用いられます。BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算することができ、BMIが25未満を正常、25〜30未満を過体重、30以上を肥満と定義されます。
飲酒
日本の研究データでは、飲酒と乳癌の因果関係ははっきりわかっていませんが、欧米のデータ(WCRF/AICR)では、乳癌の発症に飲酒が関与しているのは確実で、飲酒量が多いほど発症リスクが高くなるとされています。
飲酒はほどほどにしたほうがよさそうです。
喫煙
喫煙は特に肺がんの発症に大きく関わるとされていますが、乳癌の発症リスクも高くすることがわかっています。受動喫煙でも乳癌の発症リスクが高くなることがわかっています。
高身長
海外のWCRFの研究データでは、高身長の人のほど乳癌リスクは高くなるとされています。
高身長は遺伝的要因、環境、小児期や思春期における栄養状態、性ホルモンや成長ホルモンの分泌状況とそれに伴う月経など、様々な因子と複雑に関連しています。これらのうちの何らかの因子が乳癌の発症に関与していると考えられています。