薬剤師が考える健康に大切なこと

便秘症治療薬⑦ 浣腸剤

便秘症の治療薬には、浣腸剤もあります。浣腸剤は経口により服薬ができない状況であったり、早く排便させたい時などに使用することが多い薬です。

便秘症に使われる浣腸剤には、グリセリン浣腸(商品名:ケンエーG浣腸)があります。

グリセリン浣腸(商品名:ケンエーG浣腸)

作用機序

グリセリン浣腸(商品名:ケンエーG浣腸)は、直腸内への注入によって腸管壁の水分を吸収することに伴う刺激作用により腸管の蠕動を亢進させます。また、浸透作用により糞便を軟化、膨潤化させることにより糞便を排泄させます。

作用発現時間

グリセリン浣腸(商品名:ケンエーG浣腸)は、注入後およそ2~5分で効果が現れます。

用法・用量

1回10~150mLを直腸内に注入します。乳児では20~30mL、幼児では30~50mL、学童では50~80mL成人では50~150mLが目安量になります。

使用方法

1、本品をそのまま温湯に入れ、約40°C(体温程度)に温めます。

2、レクタルチューブの目盛を目安にして、ストッパーをスライドさせ挿入深度を合わせます。成人の場合は6~10cm、小児の場合は3~6cm、乳児の場合は3~4cm目安となります。

3、レクタルチューブをしっかり持ち、キャップをまわすように取りはずします。

4、ストッパーより先端の挿入部を少量の内容液で潤すか、オリブ油、ワセリン等の潤滑剤を塗布して肛門内に挿入しやすくします。

5、患者を左側臥位(左向きに横になる)にして、容器内の空気を追い出した後、レクタルチューブをストッパーの位置まで肛門内に緩徐に挿入します。ここで、レクタルチューブを無理に挿入すると、直腸粘膜を損傷することがあるので注意します。また、立位の状態での浣腸は危険なので行わないようにします。

6、ストッパーを片方の手で固定し、浣腸液をゆっくりと直腸内に注入します。

7、浣腸液注入後、レクタルチューブを静かに抜去し、肛門部を脱脂綿等で圧迫します。

8、通常は3~10分後、便意が強まってから排便します。

副作用

グリセリン浣腸(商品名:ケンエーG浣腸)の副作用としては、発疹、腹痛、腹鳴、腹部膨満感、直腸不快感、肛門部違和感、残便感、血圧変動などがあります。

禁忌

腸管内出血、腹腔内炎症のある人、腸管に穿孔又はそのおそれのある人は腸管外漏出による腹膜炎の誘発、蠕動運動亢進作用による症状の増悪、グリセリンの吸収による溶血、腎不全を起こすおそれがあるため禁忌となっています。

また、全身衰弱の強い人では、強制排便により衰弱状態を悪化させ、ショックを起こすおそれがあるため禁忌、下部消化管術直後の人では、蠕動運動亢進作用により腸管縫合部の離解をまねくおそれがあるため禁忌、吐き気、嘔吐又は激しい腹痛等の急性腹症が疑われる人では、症状を悪化させるおそれがあるため禁忌となっています。

取り扱い上の注意

連用による耐性の増大のため効果が減弱し、薬剤に頼りがちになることがあるので長期連用を避ける必要があります。