便秘症治療薬① 膨張性下剤

便秘症の治療薬は作用機序の違いで、膨張性下剤、浸透圧性下剤、刺激性下剤、上皮機能変容薬、消化管運動賦活薬、漢方薬、坐剤、浣腸に分類されます。

膨張性下剤

膨張性下剤は、薬自体が水分を吸収し、便のカサを増やすことによって腸の運動を促進して排便を促します
食物繊維と同様の働きをする薬で、効果は穏やかですが、安全性が高く、自然排便に近い効果が期待できます。

膨張性下剤には、ポリカルボフィルカルシウム(商品名:コロネル、ポリフル)、カルメロースNa(商品名:バルコーゼ)があります。

ポリカルボフィルカルシウム(商品名:コロネル、ポリフル)

特徴

途中でつかえた時に、膨張して喉や食道を閉塞することがあるので、コップ1杯程度の水で服用する必要があります。

適応症は便秘症ではなく、「過敏性腸症候群における便通異常(下痢、便秘)及び消化器症状」となっています。

禁忌

症状を悪化させる恐れがあるため、急性腹部疾患(虫垂炎、腸出血、潰瘍性結腸炎等)、高カルシウム血症、腎結石がある人、術後イレウス等の胃腸閉塞を引き起こす恐れのある人は禁忌となっています。腎不全(軽度及び透析中を除く)のある人は、組織への石灰沈着を助長する恐れがあるため禁忌となっています。また、本剤成分に過敏症の既往歴がある人も禁忌です。

カルメロースNa(商品名:バルコーゼ)

特徴

この薬は、消化管でほとんど消化吸収されず、同時に服用した水とともに腸内で粘性のコロイド液となり、便塊に浸透して容積を増大させ、腸壁に物理的刺激を与えて無理なく排便させます。
作用は12~24時間以内に発現しますが、最大効果は2~3日連続投与した後に現れます。
下痢便でなく、軟便として排泄されるため、排便時の下腹部疼痛がなく、肛門を刺激することなく痔疾患者にも使用することができます。
コップ1杯以上の水とともに経口投与するようにします。
便秘の解消にはある程度の日数が必要であるため、便が排泄されても短時日で投与を中止しないで、規則正しい排泄が出来るようになるまで服用を続けることが望ましいとされています。

禁忌

症状を悪化させる恐れがあるため、急性腹症が疑われる人や、重症硬結便のある人は禁忌となっています。