便秘症治療薬⑥ 坐剤

便秘症の治療薬には、坐剤もあります。坐剤は経口により服薬ができない状況であったり、早く排便させたい時などに使用することが多い薬です。

便秘症に使用される坐剤には、炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウム坐剤(商品名:新レシカルボン坐剤)、ビサコジル坐剤(商品名:テレミンソフト坐薬)があります。

 

炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウム坐剤(商品名:新レシカルボン坐剤)

作用機序

炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウム坐剤(商品名:新レシカルボン坐剤)は、腸内で炭酸ガスを発生させて、蠕動運動を亢進することで排便を促進します。

 

作用発現時間

炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウム坐剤(商品名:新レシカルボン坐剤)は、肛門に挿入後およそ10~30分で効果が現れます。

 

用法・用量

1~2個を出来るだけ肛門内に深く挿入します。重症の場合は、1日2~3個を数日間続けて挿入します。

 

副作用

ショック(顔面蒼白、呼吸困難、血圧低下等)、下腹部痛、下痢、残便感などがあります。

 

禁忌

本剤成分に対して過敏症の既往歴がある人は禁忌になります。

 

取り扱い上の注意

挿入が困難な場合は、坐剤の先に少量の水をつけると挿入しやすくなります。

挿入後は、激しい運動をすると坐剤が外に出ることがあるので、排便があるまでは激しい運動を避けるようにします。

 

 

ビサコジル坐剤(商品名:テレミンソフト坐薬)

作用機序

ビサコジル坐剤(商品名:テレミンソフト坐薬)は、結腸と直腸粘膜の副交感神経末端に作用して蠕動を高めます。また、腸粘膜への直接作用により排便反射を刺激します。

更に、結腸腔内における水分や電解質の吸収を抑制する作用もあります。

 

作用発現時間

ビサコジル坐剤(商品名:テレミンソフト坐薬)は、肛門に挿入後およそ15~60分で効果が現れます。

 

用法・用量

1回1個(10mg)を、1日1~2回肛門内に挿入します。乳幼児の場合は、1回1個(2mg)を、1日1~2回肛門内に挿入します。

 

副作用

直腸刺激感、直腸炎、腹部不快感、腹痛、肛門部痛、肛門部不快感、ショック様症状(一過性血圧低下、チアノーゼ、蒼白、発汗、冷感等)などがあります。

 

禁忌

症状が悪化する可能性があるため、痙攣性便秘、重症硬結便がある人、急性腹症が疑われる人は禁忌となっています。

また、肛門裂創、潰瘍性痔核のある人では、坐剤挿入に伴う物理的、機械的な刺激を避けるため禁忌となっています。

 

取り扱い上の注意

高温を避ければ室温保存で問題ありません。