認知症では、うつ症状、BPSD(行動・心理症状)、不安症状、不眠に対して薬物治療が効果を示します。
しかし、高齢者では生理機能が低下しているため、副作用が起こりやすくなっています。
そのため、認知症の薬物治療を行う場合は、以下のような注意点を守りながら行うようにします。
少量から開始して緩やかに増量する
高齢者では、腎機能・肝機能・肝代謝が低下しています。
薬の量は少量から開始していき、増量する場合は増やす量を少なくし、増量から次回の増量までの間隔を長くする必要があります。
薬剤用量は若年者より少なくする
高齢者では過量になる傾向があるので、投与量は若年成人量の1/4〜1/2量にし、腎機能や肝機能の状態をみながら決める必要があります。
薬効を短期間で評価する
薬効の判断を怠らないようにします。効果があまりみられない場合には、漫然と増量せずに短期間で中止して、別の薬に切り替えるようにします。
服薬方法を簡易にする
複雑な投与方法・回数では認知症の人は上手く服薬できません。1日3回の薬を1日1回服薬というように回数を減らすなどして、服薬アドヒアランスの向上を図ります。また、一包化などの検討を行うことも重要です。
多剤服薬を避ける
高齢者では様々な合併症があり、数多くの薬を服薬していることが多いです。このような状態では、薬物の働きが相互に影響し合って副作用などの有害作用が現れやすくなるので注意が必要です。
服薬アドヒアランスを確認する
薬を用法通りに服薬しているか、副作用などが現れていないか等を周りの人がしっかりと確認する必要があります。
認知症では、このような注意点に気をつけながら薬物治療を行う必要があります。