オレキシンは脳内で覚醒に関与していて、脳内にあるオレキシン受容体を阻害することで睡眠を促します。
この作用を基に作られた薬がオレキシン受容体拮抗薬です。
オレキシン受容体拮抗薬は新しいタイプの不眠症治療薬で、現在主流で多く用いられているベンゾジアゼピン系薬と比べて、依存性が形成されないことや、より自然な睡眠に近い効果が得られるといった特徴があります。
オレキシン受容体拮抗薬の種類
オレキシン受容体拮抗薬には、2020年11月時点で2種類の薬があります。
2014年にオレキシン受容体拮抗薬としてベルソムラ(一般名:スボレキサント)が最初に発売され、2020年に2つ目のオレキシン受容体拮抗薬としてデエビゴ(一般名:レンボレキサント)が発売されました。
ベルソムラの特徴
ベルソムラの用法・用量
・通常、成人には1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与します。
ベルソムラの副作用
・主な副作用として、傾眠、頭痛、疲労などがあります。
ベルソムラの特徴や注意点
・空腹時投与に比べて食後投与では、投与直後の血漿中濃度が低下し入眠効果の発現が遅れる可能性があるため、食事と同時又は食直後の服用を避ける必要があります。
・ベルソムラは、無包装状態で光と湿度の影響を受けやすい薬なので、一包化は不可になっています。服用直前にシートから取り出す必要があります。
・ベルソムラは、主に薬物代謝酵素CYP3Aによって代謝されます。そのため、ベルソムラの作用を著しく増強させる可能性があるのでCYP3Aを強く阻害する薬とは併用禁忌になっています。
ベルソムラと併用禁忌の薬としては、クラリスロマイシン(商品名:クラリス、クラリシッド)、イトラコナゾール(商品名:イトリゾール)、リトナビル(商品名:ノービアなど)、ボリコナゾール(商品名:ブイフェンド)、ネルビナフィル(商品名:ビラセプト)があります。
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者さんは禁忌です。
デエビゴの特徴
デエビゴの用法・用法
・通常、成人には1日1回5mgを就寝直前に経口投与します。症状により適宜増減しますが、1日1回10mgを超えないこととします。
デエビゴの副作用
・主な副作用として、傾眠、頭痛、倦怠感などがあります。
デエビゴの特徴や注意点
・デエビゴには、ベルソムラでみられる併用禁忌薬はありません。
・ベルソムラは一包化できませんが、デエビゴは一包化することができます。
・デエビゴは新薬としての投与制限があり、2021年4月末までは14日までしか処方できません。
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者さんは禁忌です。
・血漿中濃度を上昇させる恐れがあるため、重度肝機能障害のある患者さんは禁忌です。