インフルエンザの治療薬③

インフルエンザの治療薬の1つにアビガン(一般名:ファビピラビル)があります。

現時点でアビガンは、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なインフルエンザウイルス感染症に対して、国が判断した場合にのみ投与が検討される薬であるため、通常では処方されることがない薬です。

しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアビガン使用についての議論がされているようです。

 

アビガンの作用機序

アビガンは、他のインフルエンザ治療薬とは異なる作用機序でインフルエンザウイルスの増殖を抑えます。

アビガンは、インフルエンザウイルスの細胞内での遺伝子複製を担っているRNAポリメラーゼという酵素の働きを阻害して、インフルエンザウイルスの増殖を抑える薬です。

 

アビガンの警告

アビガンには警告があります。

動物実験において初期胚の致死及び催奇形性が確認されていることから、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与してはいけません。

・妊娠する可能性のある女性に投与する場合は、妊娠していないことを確認してから投与を開始します。投与期間中及び投与終了後7日間は避妊をする必要があります。もし、投与期間中に妊娠が疑われた場合は、直ちに投与を中止して医師等に連絡するようにします。

・アビガンは精液中へ移行するため、男性に投与する際は、投与期間中及び投与終了後7日間までは必ず避妊をするようにします。

また、この期間中は妊婦さんとの性交渉を行わないようにします。

患者さん又はその家族等に有効性及び危険性を十分に文書にて説明し、文書で同意を得てから投与を開始する必要があります。

 

アビガンの禁忌

アビガンの禁忌は以下の通りです。

妊婦さん又は妊娠している可能性のある女性。

・含有成分に対して過敏症の既往歴がある人。

 

アビガンの注意点

アビガンは母乳中に移行するため、授乳中の女性はアビガン服用中は、授乳を中止する必要があります。

インフルエンザ罹患時には、転落等に至るおそれのある異常行動が現れることがあります

現状では小児への投与経験はありません。

 

アビガンの用法・用量

通常、成人は1日目は1回1600mgを1日2回服用し、2日目から5日目は1回600mgを1日2回服用します。総投与期間は5日間です。

小児への用法・用量はありません。

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