PMSの治療薬 低用量ピル

月経前症候群の原因ははっきりわかっていませんが、女性ホルモンである卵胞ホルモンであるエストロゲンと黄体ホルモンであるプロゲステロンのバランスの崩れによって引き起こされるのではないかと考えられています。
そのため、月経前症候群の治療には女性ホルモン製剤である低用量ピルが使われることがあります。低用量ピルにはルナベル、ヤーズ、ジェミーナがあります。これらの低用量ピルを服薬することで、排卵が抑制されて女性ホルモンの波が少なくなり症状が改善されます。

注意点

禁忌

低用量ピルには禁忌が多く、服薬できる人が限られることが挙げられます。
本剤成分に過敏症の既往歴がある人、乳癌や子宮内膜癌などのエストロゲン依存性悪性腫瘍・子宮頸癌の人やその疑いがある人、診断の確定していない異常性器出血のある人、血栓性静脈炎・肺塞栓症・脳血管障害・冠動脈疾患がある人やその既往歴のある人、35歳以上で1日15本以上の喫煙をしている人、前兆のある片頭痛がある人、肺高血圧症または心房細動を合併する心臓弁膜症の人、亜急性細菌性心内膜炎の既往歴がある心臓弁膜症の人、糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症などの血管病変を伴う糖尿病患者、血栓性素因がある人、抗リン脂質抗体症候群の人、手術前4週以内・術後2週以内・産後4週以内及び長期間安静状態の人、重篤な肝障害がある人、肝腫瘍のある人、脂質代謝異常がある人、軽度でない高血圧の人、耳硬化症の人、妊娠中に黄疸・持続性そう痒症又は妊娠ヘルペスの既往歴がある人、妊婦又は妊娠している可能性のある人、授乳している人、骨成長が終了していない可能性がある人、重篤な腎障害又は急性腎不全のある人は禁忌のため服薬することができません。
またヴィキラックスとは併用禁忌のため、一緒に服薬できません。ヴィキラックス服薬終了2週間後からなら服薬できます。

尚、ジェミーナには重篤な腎障害又は急性腎不全のある人の禁忌はありません。

副作用

重大な副作用の1つに血栓症があります。服薬中は下肢の急激な疼痛・腫脹、突然の息切れ、胸痛、激しい頭痛、四肢の脱力・麻痺、構語障害、急性視力障害等の症状がないか注意をして、そのような症状があらわれた場合はすぐに服薬を中止して病院を受診する必要があります。その他の副作用としては悪心、不正子宮出血、頭痛、下腹部痛などがあります。

服用方法

ヤーズはシートに書いてある順番に服薬していきます。ヤーズの最後の白色の4錠は薬効がないプラセボなので、24日間服薬、プラセボを服用している4日間は休薬という服薬スケジュールになります。

以上28日間を1周期として、出血が終わっているか続いているかにかかわらず、29日目から次の周期の錠剤の服薬を開始し、以後同様に繰り返します。

尚、プラセボがないヤーズフレックスが発売されています。

ヤーズフレックスの服用方法は、24日目までは出血の有無にかかわらず連続服薬し、25日目以降に3日間連続で出血(点状出血を含む)が認められた場合、又は、連続服薬が120日に達した場合は、4日間休薬します。

休薬後は出血が終わっているか続いているかにかかわらず、連続服薬を開始し、以後同様に連続服薬と休薬を繰り返します。

ルナベルの場合は、ヤーズのようなプラセボはなく、21日間服薬してその後7日間休薬します。以上28日間を1周期として、出血が終わっているか続いているかにかかわらず、29日目から服薬を開始し、以後同様に繰り返します。

ルナベルにはLDULDがあります。

LDにはノルエチステロンが1mg、エチニルエストラジオールが0.035mg配合されていて、ULDにはノルエチステロンが1mg、エチニルエストラジオールが0.02mg配合されています。

ジェミーナには2通りの服用方法があります。

1通り目:1日1錠を毎日一定の時刻に21日間連続服用してその後7日間休薬します。以上28日間を1周期とし、出血が終わっているか続いているかにかかわらず、29日目から次の周期を開始し、以後同様に繰り返します。

2通り目:1日1錠を毎日一定の時刻に77日間連続服用してその後7日間休薬します。以上84日間を1周期とし、出血が終わっているか続いているかにかかわらず、85日目から次の周期を開始し、以後同様に繰り返します。

初めて服薬する際、ヤーズの場合は月経第1日目、ルナベルとジェミーナの場合は月経第1〜5日目から服薬を開始します。

万一前日の飲み忘れに気付いた場合は、直ちに前日の飲み忘れた錠剤を服薬して、当日の錠剤も通常の服薬時間に服薬するようにします。2日以上服薬を忘れた場合は、気付いた時点で前日分の1錠を服薬し、当日の錠剤も通常の服薬時間に服薬します。その後は当初の服薬スケジュールどおり服薬を継続するようにします。