緑内障の治療薬には色々な種類があります。
プロスタグランジン製剤
プロスタグランジンF2αという物質は体内で様々な作用をしますが、その作用の1つに眼のぶどう膜強膜流出路に作用して房水の排出を促進する作用があります。
このプロスタグランジンF2αの作用がなるべく眼だけにされるように作られたのがプロスタグランジン製剤です。
プロスタグランジン製剤に分類される薬
この種類の薬には、レスキュラ(一般名:イソプロピルウノプロストン)、キサラタン(一般名:ラタノプロスト)、トラバタンズ(一般名:トラボプロスト)、タプロス(一般名:タフルプロスト)、ルミガン(一般名:ビマトプロスト)があります。
レスキュラは1日2回点眼、キサラタン、トラバタンズ、タプロス、ルミガンは1日1回点眼する薬です。
注意点
特徴的な注意点として、メラニン色素の増加による色素沈着があります。これらの薬は継続使用するうちに虹彩(眼の白目以外の色の付いている部分)や眼瞼(まぶたのこと)に色素の沈着が起こって色が変わったり、眼の周りのまつげなどが毛深くなっていきます。
これらの症状は点眼を中止すると進行しなくなりますが、沈着した色素を消失させるのは難しいようです。そのため、少しでも症状が出ないようにするために点眼した後にあふれ出た薬をしっかり拭き取ったり、水で洗い流す必要があります。
タプロスに関しては、中等度以上の羞明、虹彩炎などの眼炎症が高頻度に認められているため、エイベリス(一般名:オミデネパグイソプロピル)とは併用禁忌になっています。
炭酸脱水酵素阻害薬
炭酸脱水酵素阻害薬は房水の産生を抑えて眼圧を下げる薬です。房水の産生には重炭酸イオンが関与することが知られています。この重炭酸イオンは体内で二酸化炭素と水から合成されますが、この合成を行う酵素が炭酸脱水酵素です。炭酸脱水酵素の働きを抑えることで重炭酸イオンの生成が阻害されて房水の産生が少なくなります。
分類される薬
この種類の薬にはトルソプト(一般名:ドルゾラミド)、エイゾプト(一般名:ブリンゾラミド)があります。
トルソプトは1日3回、エイゾプトは1日2回で、効果が得られない場合は1日3回点眼することができます。
エイゾプトは懸濁性点眼薬のため使用前によく振る必要があり、他の点眼薬と併用する場合は10分以上間隔を空けないといけません。
またトルソプト、エイゾプト共に腎臓から排泄されるため、重篤な腎障害がある人は禁忌のため服薬することができません。
Rhoキナーゼ阻害薬
Rhoキナーゼ阻害薬は線維柱帯に作用して、房水が線維柱帯流出路を通ってシュレム管へ流出されるのを促進します。その結果眼圧が下がります。
この種類の薬にはグラナテック(一般名:リパスジル)があり、これは1日2回点眼する薬です。