カルシウム拮抗薬
今回は高血圧の薬の1つであるカルシウム拮抗薬についてまとめます。
血管の細胞にカルシウムが流入すると血管が収縮して血圧が上昇します。このカルシウムの流入を抑えて血管を広げ、血圧が下がるように開発されたのがカルシウム拮抗薬です。
副作用
この薬の副作用としては、血管が広がることにより引き起こされる頭痛、顔面紅潮、歯肉肥厚(歯茎の腫れ)などがあります。頭痛と顔面紅潮は血管が広がることによる有害作用ですが、歯肉肥厚の原因はよくわかっていません。歯肉肥厚を防ぐためには、しっかりと歯を磨いて歯肉炎を防ぐ必要があります。
グレープフルーツ
また、グレープフルーツ(特にジュース)はカルシウム拮抗薬の代謝(=分解のこと)を阻害するため、一緒に摂ると薬の効果が強く出てしまいます。この阻害物質の多くはグレープフルーツの果実に含まれています。果実とジュースの阻害作用の強さの比較をすると、おおよそ果実1個=ジュース250mL位のようです。この作用は、3日ほど持続するので、カルシウム拮抗薬を服用している間はグレープフルーツを摂らない方がよさそうです。
グレープフルーツだけでなく、スウィーティー、サワーオレンジ、夏みかん、伊予柑、ポンカンも同様の影響を与えると言われています。一方、レモン、バレンシアオレンジ、温州みかんはカルシウム拮抗薬の代謝に影響を与えないようです。
カルシウムチャネルの種類
カルシウム拮抗薬には様々な種類があってそれぞれ特徴があります。
カルシウムが流入するチャネル(=細胞内にカルシウムイオンが流入する部位のこと)はいくつか種類(=型といいます)があるため、どのチャネルに作用するかによって薬ごとに特徴が生まれます。
では、そのチャネルには何があり、どのような特徴があるのかまとめます。
L型カルシウムチャネル
主に血管の細胞に存在します。降圧作用に関わるチャネルで、ほとんどのカルシウム拮抗薬はこのチャネルに作用します。このL型カルシウムチャネルはカルシウム拮抗薬が結合する場所により更に3つに分けられます。
N部位
血管拡張作用に強く関与して、ここに結合する薬は強い血圧降下作用を示します。
D部位
ここに結合する薬は血圧降下作用は弱いですが、心臓の血管にも作用するので狭心症の治療にも使われます。
V部位
ここに結合する薬は血管よりも心臓に作用します。血圧降下作用はなく、不整脈といった心臓の疾患に使われます。
T型カルシウムチャネル
心臓の心拍数に関与する部分や腎臓に存在するので、ここに作用すると心拍数が下がったり、腎臓にある糸球体にかかる圧を下げて腎臓の保護をしたりします。
N型カルシウムチャネル
神経細胞に存在してノルアドレナリンの放出を抑制し、血管や心臓や腎臓の細胞にカルシウムイオンが流入するのを抑えて、血圧の降下や心拍数の低下、腎臓の保護をしたりします。