前立腺肥大症の治療薬②

前立腺肥大の原因の1つに男性ホルモンの影響があります。男性ホルモンが前立腺に作用すると前立腺は肥大していきます。男性ホルモンには色々種類があり、それぞれ男性ホルモンとして作用する強さが違います。

 

5α還元酵素阻害薬

男性ホルモンの1つにテストステロンがあります。テストステロンは5α還元酵素という酵素によってジヒドロテストステロンというものになります。ジヒドロテストステロンは、男性ホルモン作用がテストステロンより強力で前立腺の肥大により強く影響します。
5α還元酵素を阻害してジヒドロテストステロンの量を少なくして、前立腺に及ぼす男性ホルモンの影響を少なくしようと開発されたのが5α還元酵素阻害薬です。

分類される薬

5α還元酵素阻害薬にはアボルブ(一般名:デュタステリド)があります。この薬は効果が出始めるまである程度期間が必要なので、副作用などがない限りは通常6ヶ月位は服薬します。
アボルブは男性ホルモンの作用を弱めるので、主な副作用としては女性化乳房、性欲減退などがあります。
またアボルブは皮膚から吸収されるので、カプセルの中に入っている薬に触れた場合はすぐに石鹸で洗い流す必要があります。女性と小児は投与禁忌なので特に注意が必要です。
この薬は主に肝臓で代謝されるので重度の肝機能障害がある人は禁忌のため服薬できません。

また、本剤成分及び他の5α還元酵素阻害薬に過敏症の既往歴がある人は禁忌になっています。

 

抗アンドロゲン薬

アボルブと同じように、男性ホルモンの働きを抑える薬として抗アンドロゲン薬があります。
抗アンドロゲン薬は男性ホルモンであるテストステロンが前立腺に取り込まれるのを阻害する作用と、精巣でのテストステロンの合成を抑制する作用があります。この2つの作用で前立腺肥大症を治療します。

分類される薬

抗アンドロゲン薬にはプロスタール(一般名:クロルマジノン)があります。効果の判定の目安として、副作用がない限りおおよそ16週間服薬を続ける必要があります。アボルブ同様に主な副作用には女性化乳房、性欲減退などがあります。また、重度の肝機能障害がある人は禁忌なので服薬できません。
プロスタールには25mg錠とL錠50mgがあります。L錠は徐放性製剤のことで、効果が長く続くように作られた薬です。そのため25錠は1日2回服用する必要がありますが、L錠は1日1回の服用で効果が得られます。
また25mg錠は前立腺肥大だけでなく前立腺癌にも保険適応があるため、前立腺癌の人にも処方されることがあります。通常、前立腺肥大症には1回1錠、前立腺癌には1回2錠服用となっています。