前立腺肥大症の治療薬①

前立腺肥大症とは?

前立腺は男性特有の器官であり、精液の一部を作っています。前立腺は加齢と共に肥大して尿の通り道である尿道を狭くして、その結果様々な尿のトラブルが起こります。通常の前立腺の大きさはクルミの大きさと同じ位ですが、肥大すると卵の大きさ位になったりします。

原因と症状

原因は加齢以外に、肥満や高血圧、高血糖、脂質異常症などが考えられています。
前立腺肥大の症状としては排尿障害、蓄尿障害、排尿後症状があります。

排尿障害の症状には、尿が出づらい、尿が出るまで時間がかかるといった症状があり、蓄尿障害の症状には頻尿や尿意切迫感があります。排尿後症状には残尿感といった、尿が出きっていない感じがあります。

こういった症状が続くと日常生活に支障を来たすので、前立腺肥大症の治療薬が開発されました。

α1受容体阻害薬

先ずはα1受容体阻害薬です。α受容体が刺激されると、尿を出さないように尿道が狭くなります。それを阻害すれば尿道が広がることになります。

α1受容体にはα1A受容体、α1B受容体、α1D受容体の3種類があります。α1A受容体は前立腺と尿道に多く存在していて、α1B受容体は主に血管に、α1D受容体は主に膀胱と前立腺に存在しています。そのため前立腺肥大症の治療に使うα受容体阻害薬としては、α1A受容体阻害薬やα1D受容体阻害薬が使われます。
前立腺のα受容体ですが、α1A受容体の割合が高い人とα1D受容体の割合が高い人がいます。そのためα1受容体阻害薬ごとに効果の大きさが人によって違ってきます。

前立腺肥大症に使うα1受容体阻害薬にはハルナール(一般名:タムスロシン)、ユリーフ(一般名:シロドシン)、フリバス(一般名:ナフトピジル)があります。それぞれの特徴を見てみます。

ハルナール

ハルナールはα1A受容体とα1D受容体を阻害しますが、α1A受容体を阻害する割合の方が大きいです。

フリバス

逆にフリバスはα1D受容体を阻害する割合の方が大きいです。そのためフリバスは膀胱の方にも作用し、頻尿などの症状にも効果を示します。

ユリーフ

ユリーフはα1A受容体を選択的に阻害します。

α1受容体遮断薬の副作用

α1受容体遮断薬のどの薬にも共通の副作用として、血圧低下、めまい、立ちくらみなどがあります。ユリーフに多い副作用としては射精障害があります。これは精嚢にもα1A受容体が存在していて、それを阻害することによって起こります。
またハルナール、フリバス、ユリーフ全てに存在する副作用として、術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)があります。これは白内障の手術中に虹彩(茶目)が動いたり、瞳孔が小さくなる症状です。
そのため白内障の手術の際には、お薬手帳などを介して医師に服薬していることを知ってもらうことが大切です。