薬剤師が考える健康に大切なこと

便秘を予防・改善する11の方法

便秘とは?

便秘は一般的には、週2回以下の排便、3日以上排便がない、排便回数低下、量の減少、硬い便、残便感がある状態を指します。

便秘を放置すると、腹痛、腹部膨満感を引き起こし、更にひどくなると嘔吐をしたり、腸閉塞になったり、大腸癌の原因にもなります。

このように、便秘と生活の質は密接に関係しているため、便秘にならないようにすることはとても大切なことです。

便秘の分類

便秘には器質性便秘と機能性便秘があります。

器質性便秘は、炎症や腸疾患など別の疾患が原因となって起こる便秘です。器質性便秘を改善するには、原因となる疾患を治療しなければ改善しません。

一方、機能性便秘は腸そのものには異常がありませんが、運動機能の異常によって起こる便秘です。機能性便秘は、生活習慣を改善することで自分で改善することもできます。

機能性便秘を予防、改善する方法をまとめました。

便秘の改善方法① 1日3回の食事

体の健康的なサイクルを保つために、栄養のバランスがとれた食事を朝、昼、晩の3食摂るようにします

また、食事の量が少ないと便を作ることができないため、無理な食事制限は控えるようにします。

便秘の改善方法② 水分の摂取

水分摂取量が少ないと便が固くなって出づらくなってしまうので、適度に水分を摂ることも大切です。

便秘の改善方法③ 食物繊維

食物繊維は便秘の解消に効果がありますが、摂りすぎると腸内ガスが発生しやすくなって腹部膨満感につながるため、1日に18〜20gを目標に摂るようにします。

食物繊維は、水溶性と不溶性に分けられます。それぞれ腸内での働き方が違います。

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は、水に溶けるとゲル化して水分を保持するように働き、便に水分を与えて出しやすくする作用があります。水溶性食物繊維は、海藻や果物などに含まれています。

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維は、腸内の水分や余分なものを吸収し便を大きくして、腸の蠕動運動を良くして腸の中をきれいにする働きがあります。

また、善玉菌のエサとして利用されるため、善玉菌の数を増やす作用もあります。

便秘の改善方法④ オリゴ糖

オリゴ糖は糖類の一種で、便を柔らかくして、腸の動きを良くする働きがあります。

便秘の改善方法⑤ プロバイオティクス

プロバイオティクスとは、腸内フローラのバランスを整える作用がある生きた細菌や酵母のことをいいます。

プロバイオティクスは、ヨーグルト、納豆、味噌などに含まれています。

プロバイオティクスは、そのエサとなるオリゴ糖や食物繊維と一緒に摂るとより効果的です

便秘改善の最強レシピ きなこヨーグルト

きなこには食物繊維とオリゴ糖が含まれていて、ヨーグルトにはプロバイオティクスが含まれているので、一緒に食べると便秘の予防と改善に効果的です。

便秘の改善方法⑥ 運動

運動をすると大腸内の便の通過時間が短縮するため、硬い便や残便感の改善に有効です。

特に、お腹をひねるような動きが効果的です。

手軽にできる運動としては、ラジオ体操や仰向けや座った状態で腰をねじる運動があります。

便秘の改善方法⑦ 腹部マッサージ

腹部のマッサージをすることで、大腸の動きが良くなり便秘が改善します。

おへその下→右下腹部→おへその上→左下腹部の順で、手の平で1~2cm位沈む力で、「の」の字を書くように押します。

そして、左の腰骨の出っ張りから、やや内側下にあるS状結腸を手のひらで押します。

妊娠中の人、腹部疾患(動脈瘤や腫瘍など)がある人、腰部疾患がある人は、主治医にまず相談してからするようにします。

便秘の改善方法⑧ トイレに行く習慣をつける

排便のリズムをつけるために、便意がなくても毎日トイレに行く習慣をつけます。

また、洋式トイレに座った時の姿勢に意識することも大切です。

肘を太腿の上に置いて、かかとを上げて(または足台を置いて)前傾姿勢になると腹圧がかかって排便がしやすくなります。

便秘の改善方法⑨ 便意を我慢しない

便秘を繰り返し我慢すると、便が大腸の中にとどまり、便の水分がなくなって硬くなって便秘になるので、便意は我慢しないようにします。

便秘の改善方法⑩ ストレスを溜めない

ストレスで腸管の動きが悪くなって、便秘の原因になることがあるため、ストレスを溜めないようにすることも大切です。

便秘の改善方法⑪ 薬の副作用を排除する

薬の副作用で便秘になることもあります。主治医と相談して不必要な薬をなくしたり、他の薬に変えることで改善することがあります。