便秘症治療薬④ 上皮機能変容薬

上皮機能変容薬は便秘症に対する薬としては比較的新しいタイプの薬です。上皮機能変容薬は腸粘膜上皮に作用し、腸管内の水分の分泌を増加させて、腸管内の便輸送を高めて排便を促します。

上皮機能変容薬には、ルビプロストン(商品名:アミティーザ)、エロビキシバット(商品名:グーフィス)、リナクロチド(商品名:リンゼス)があります。

ルビプロストン(商品名:アミティーザ)

作用機序

ルビプロストン(商品名:アミティーザ)は、小腸に存在し腸液の分泌に関与しているクロライドチャネルという受容体を活性化します。その結果、小腸内への水分の分泌が促進されて、便が柔らかくなって排便が促されるようになります。

作用発現時間

臨床試験データでは、服用した人の約60%が24時間以内に便意を催すとされています。

用法・用量

ルビプロストン(商品名:アミティーザ)は、成人では1回24μg(1カプセル)を1日2回、朝食後及び夕食後に服用します。但し、症状により適宜増減します。

副作用

頻度の高い副作用に、下痢(30%)、悪心(23%)、腹痛(6%)があります。

禁忌

症状を悪化させる可能性があるため、腫瘍による腸閉塞、ヘルニアによる腸閉塞等腸閉塞が確認されている又は疑われる人、妊婦又は妊娠している可能性のある人は禁忌となっています。

本剤成分に対して過敏症の既往歴がある人は禁忌です。

エロビキシバット(商品名:グーフィス

作用機序

エロビキシバット(商品名:グーフィス)は、回腸末端部の上皮細胞に発現している胆汁酸トランスポーターを阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制することで、大腸管腔内に流入する胆汁酸の量を増加させます。大腸管腔内で増加した胆汁酸は、大腸管腔内に水分を分泌させて、更に消化管運動を促進させます。その結果、排便が促されます。

作用発現時間

臨床試験データでは、服用約5時間後に50%、24時間後には85.5%の人で排便がみられました。

用法・用量

エロビキシバット(商品名:グーフィス)は、成人では10mgを1日1回食前に経口服用します。但し、症状により適宜増減しますが、最高用量は1日15mgとなっています。

エロビキシバット(商品名:グーフィス)は胆汁酸の再吸収を阻害する薬で、食事の刺激による胆汁酸の放出より前に服用した方が良いため、食前に服用するようになっています。

副作用

頻度の高い副作用に、腹痛(19%)、下痢(15.7%)があります。

禁忌

腸閉塞が悪化するおそれがあるため、腫瘍、ヘルニア等による腸閉塞がある人、またはそれが疑われる人は禁忌となっています。

本剤成分に対して過敏症の既往歴がある人は禁忌です。

リナクロチド(商品名:リンゼス)

適応症

リナクロチド(商品名:リンゼス)の適応症には、便秘症の他に便秘型過敏性腸症候群もあります。

作用機序

リナクロチド(商品名:リンゼス)は、グアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体作動薬であり、腸管の管腔表面に存在するGC-C受容体を活性化することにより、細胞内のサイクリック GMP(cGMP)濃度を増加させます。その結果、管腔内への腸液の分泌が亢進して腸管輸送能が促進され、便秘型過敏性腸症候群における便通異常が改善すると考えられています。

更に、細胞内で増加したcGMPは、大腸に投射する知覚神経の働きを抑制するように作用して、大腸痛覚過敏を改善します。そのため、リナクロチド(商品名:リンゼス)は、便秘型過敏性腸症候群における腹痛や腹部不快感を改善すると考えられています。

作用発現時間

臨床試験データでは、初回服用後24時間以内に72.3%の人で排便がみられました。

用法・用量

リナクロチド(商品名:リンゼス)は、成人では0.5mgを1日1回、食前に服用します。

尚、症状により0.25mgに減量するようになっています。

臨床試験において食後に服用した場合に、軟便などを含む下痢の発現率が上昇したため、食前服用とされています。

副作用

頻度の高い副作用に下痢(13%)があります。また、重度の下痢が現れる可能性があるので、症状の経過を十分に観察する必要があります。

禁忌

機械的消化管閉塞又はその疑いがある人は、症状が悪化する可能性があるため禁忌となっています。

本剤成分に対して過敏症の既往歴がある人は禁忌です。

取扱い上の注意

リナクロチド(商品名:リンゼス)は、25℃以上、湿度75%以上の無包装状態で、24時間以内に類縁物質の値が規格値を逸脱することが示されているため、服用直前にアルミ包装から取り出すこととなっています。

そのため、リナクロチド(商品名:リンゼス)の一包化は推奨されていません。