外用剤の剤形や基剤の違い

外用剤の剤形と基剤の違い

外用剤は軟膏やクリーム、ローション剤などに大別され、基剤の特徴によって更に細かく分類されます。

適応 長所 短所
軟膏 びらん・潰瘍を含むあらゆる病変 効果が確実

安全性が高い

べたつく

てかてか光る

クリーム 浸潤面には用いない べたつかない

水で洗い流せる

刺激性がある

乾燥する

ローション、ゲル 有毛部の病変に用いる 発汗時でも使用感がいい 刺激性がある
スプレー 一般の使用は限定的 塗布時の痛みがない 刺激性がある
テープ 肥厚性、亀裂性の病変 効果が強力

掻破が防止できる

切り貼りが面倒

毛包炎を誘発する

油脂性軟膏剤のように基剤が油性成分のみの場合には微生物は繁殖しにくく、pHも変化しないため、その他の添加物はあまり必要ありません。

一方、基剤に水性成分が存在すると、油性成分単独の場合と比較して使用感が向上しますが、微生物が繁殖しやすくなったり、pHの変化などが起こるため、保存剤などの他の添加物が必要となります。

また、基剤が油性成分と水性成分から構成されている場合は、そのままでは分離してしまうため、界面活性剤を添加して乳化させています。

外用剤の皮膚の状態による使い分け

外用剤を使用する場合は、紅斑や水疱などの皮疹の有無に合わせて基剤を選択する必要があります。

その理由として、皮疹が生じて皮膚欠損や分泌物があれば経皮吸収性が高まる可能性があり、外用剤の基剤によっては刺激などが起こる可能性があるためです。

紅斑 丘疹 苔癬化 水疱 びらん 潰瘍
油脂性基剤
水溶性基剤
乳剤性基剤 × × ×
ゲル基剤
ローション基剤 × ×
テープ剤 × ×
 〇:よく適している  △:適している  ×:適していない

乳剤性基剤やローション基剤など皮膚透過性の高い基剤は、びらんや潰瘍のような皮膚欠損がある場合、経皮吸収性が高まる可能性があります。

また、皮膚欠損がある場合は外的刺激を受けやすいため、油脂性基剤よりも添加物が多く、刺激性が高い乳剤性基剤やローション基剤は一般的に適していません。

水疱、びらん、潰瘍などの分泌液が多い湿潤面では、吸水性の高い基剤である水溶性基剤が適しています。

油脂性基剤は刺激性が低く、湿潤面でも乾燥面でも用いることができるため、最も適用しやすい基剤となります。ただし、べたつき感があり使用感が悪いといった欠点があります。