腎機能を調べる検査①

腎臓の働き

腎臓は体内の不要物や老廃物をろ過して、余分な水分と一緒に体外へ尿として排出する臓器です。腎臓の機能が悪くなると老廃物が体内に溜まって様々な症状が現れます。

一度失われた腎臓の機能は元に戻すことはできません。そのため、早期の段階で治療を開始する必要があります。

腎機能を調べる検査として、尿蛋白・尿潜血、血清クレアチニン、BUN(尿素窒素)、尿酸、eGFR(推算糸球体ろ過量)、クレアチニンクリアランスなどがあります。

今回は尿蛋白・尿潜血、血清クレアチニン、BUN(尿素窒素)について書いていきます。

尿蛋白・尿潜血

血中の蛋白質は腎臓の糸球体でろ過されますが、尿細管で再吸収されて血液中に戻るため尿中に排泄される量はわずかです。

赤血球も通常は尿中にほとんど排泄されません。

腎臓のどこかに障害があると尿中に蛋白質や赤血球が排泄されるため、尿蛋白や尿潜血が陽性になります。

血清クレアチニン

クレアチニンは筋肉中のアミノ酸の一種であるクレアチンが代謝されてできた物質です。

健康な人の場合、クレアチニンは腎臓の糸球体でろ過されて、尿細管で再吸収されずに尿中に排泄されます。

腎臓が悪くなると、クレアチニンが排泄されずに血液中に留まるため血清クレアチニンの値が高くなります。腎臓に異常がある場合以外に、心不全や脱水などでも高くなります。

逆に、尿崩症の場合や、筋肉量が低下した高齢者、妊婦などでは値が低くなります。

血清クレアチニンの基準値は、男性では0.6~1.1mg/dL、女性では0.4~0.8mg/dLです。

BUN(尿素窒素)

尿素窒素は蛋白質が肝臓で代謝された後にできる老廃物です。健康な人の場合、尿素窒素は腎臓の糸球体でろ過されて尿中に排泄されます。

腎臓が悪くなると、尿素窒素が排泄されずに血液中に留まるため尿素窒素の値が高くなります。

腎臓に異常がある場合以外に、脱水、悪性腫瘍、消化管出血、発熱、尿素窒素の元になる蛋白質の摂りすぎなどでも高くなります。

逆に、尿素窒素を作ることができない肝不全の状態や、蛋白質の摂取が不足していると尿素窒素の値が低くなります。

血清クレアチニンの値と併せて測定して、腎性のものか判定することができます。尿素窒素/血清クレアチニンは正常10/1ですが、この比が上昇すると(尿素窒素だけが高くなると)腎臓以外の異常が考えられ、低下すると腎臓の異常が考えられます。

BUNの基準値は8~20mg/dLです。