肝臓にはコレステロールを合成して全身に送り届ける働きと、コレステロールを胆汁酸というものに作り変えて体から排泄する働きがあります。
コレステロール異化促進薬
コレステロール異化促進薬は肝臓でコレステロールから胆汁酸の合成を促進し、その結果肝臓でのコレステロール合成を抑えて血液中に流れ込むコレステロールの量を減らします。
コレステロール全体の量を減らすので、血液中の余分なコレステロールを回収する良い役目を持つ善玉コレステロールであるHDLコレステロールの値も下げてしまうという欠点があります。
この作用でコレステロール値を下げる薬としてシンレスタール、ロレルコ(一般名:共にプロブコール)があります。
この薬は妊婦禁忌なので妊婦さんは服薬できません。また心室性不整脈を引き起こす可能性があり、重篤な心室性不整脈がある人は禁忌になるので服薬できません。
また、本剤成分に対して過敏症の既往歴がある人は禁忌になります。
EPA製剤
EPAとはイコサペント酸エチルのことです。青魚に多く含まれている油、いわゆる魚油です。最近ではサプリメントなどでも目にすることが多いと思います。処方箋で医師から処方される薬はサプリメントよりも成分が多く含まれています。
作用機序
この薬は肝臓でのコレステロールと中性脂肪の合成を抑制したり、血小板の凝集を抑制したり、動脈血管の弾力性を良くします。
動脈の弾力性が悪いと血管に傷がつきやすくなります。血管に傷が付くと血液中の血小板が凝集してその傷を塞ごうとします。脂質異常症の人は血管の弾力性が悪くて血管に傷がつきやすくなっています。そうなると血管の至る所で血小板が凝集することになります。そうやって血小板から作られた血液の塊(血栓といいます)が心臓に流れて血管を塞ぐと心筋梗塞に、脳に流れて血管を塞ぐと脳梗塞になります。
動脈血管の弾力性が良くなったり、血小板の凝集が抑制されると、脂質異常症に伴う心筋梗塞や脳梗塞発症の予防をすることが出来ます。
EPA製剤に分類される薬
EPA製剤の薬としてはエパデール(一般名:イコサペント酸エチル)、ロトリガ(一般名:ω3脂肪酸エチル)の2種類があります。エパデールはEPAのみの製剤ですが、ロトリガはEPAだけでなく魚油の一種であるDHAも配合した薬です。
エパデールとロトリガの共通の禁忌として出血している人があります。これは、EPA製剤を服薬して血小板の凝集が抑制されると、血液がサラサラになり止まりづらくなるためです。
ビタミンE製剤
次にビタミンE製剤です。ビタミンEはコレステロールの排泄を促して血液中のコレステロールを減らす作用、また中性脂肪を減らす作用を有します。また、血小板凝集抑制作用もあります。
ビタミンE製剤にはユベラ(一般名:トコフェロールニコチン酸エステル)があります。ユベラには50mg錠、100mgカプセル、200mgソフトカプセル、20%顆粒、40%顆粒がありますが、50mg錠と20%顆粒は脂質異常症に保険適用がありません。