慢性期の深い褥瘡の治療 壊死組織の除去②

前回は、深い褥瘡(D)のN→n(壊死組織の除去)の治療法についてまとめました。ここで使用される外用薬には、カデックス、ブロメライン軟膏、ゲーベンクリーム、フランセチン・T・パウダーなどがあります。
今回はこれらの外用薬について詳しくまとめていきます。

 

カデックス

一般名は、カデキソマー・ヨウ素で、軟膏と外用散があります。軟膏、外用散共に1日1回または2回患部に約3mmの厚さ(直径4cmあたり3gが目安)に塗布します。
カデックスの基剤である、カデキソマー(デキストリンポリマー)の滲出液吸収による創の清浄化作用と、ヨウ素による持続的な殺菌作用で褥瘡に効果を示します。
カデックスは、滲出液が多い場合に使用します。また、外用散の吸水能は軟膏の約2倍なので、滲出液がより多いときは外用散を使います。
交換時は、薬を残さないように十分に洗浄を行い、ポケットには使用しないようにします。
ヨウ素を含んでおり、ヨウ素過敏症の人は禁忌になっているため使用できません。

 

ブロメライン軟膏

一般名はブロメラインで、蛋白分解酵素です。滲出液の粘稠度を下げたり、滲出物の溶解をしたり、基剤のマクロゴールによる痂皮除去作用によって褥瘡に効果を示します。マクロゴール基剤には吸水性があるので、滲出液がある場合に使用します。
ゲーベンクリームと併用すると効果が落ちるので、一緒に使用しないようにします。
強い局所刺激作用を持つので、創周囲の健常皮膚を白色ワセリンなどで保護し、薬が触れないように注意します。

本剤成分に対して過敏症の既往歴のある人は禁忌です。

 

ゲーベンクリーム

一般名はスルファジアジン銀で、銀による抗菌作用と、浸透特性を持つ乳剤性基剤による壊死組織の軟化と融解作用によって、褥瘡に効果を示します。
1日1回創面を覆うように2〜3mmの厚さに塗布、またはガーゼに同じ厚さに塗りそれを創面に貼付します。滲出液が多いときは、創面に浮腫を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
他の薬と混合しないようにします。
外皮用酵素製剤と併用すると、酵素活性が減弱し薬効が落ちるので、これらの薬とは併用しないようにします。

本剤成分又はサルファ剤に対して過敏症の既往歴のある人、軽症熱傷(疼痛がみられるため)、新生児や低出生体重児(高ビリルビン血症を起こすおそれがあるため)は禁忌になっています。

 

フランセチン・T・パウダー

一般名はフラジオマイシン硫酸塩・結晶トリプシンで、フラジオマイシンによる抗菌作用と、蛋白分解酵素であるトリプシンが滲出液の粘稠度を下げたり、滲出物の溶解することで褥瘡に効果を示します。
ゲーベンクリームと併用すると効果が落ちるので、一緒に使用しないようにします。

本剤成分に対して過敏症の既往歴のある人、フラジオマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン等のアミノ糖系抗生物質、バシトラシン、トリプシン、キモトリプシンに対して過敏症の既往歴がある人、創面から出血している人(トリプシンには血液凝固阻止作用があるため)、重篤な肝障害・腎障害がある人(症状が増悪することがあるため)は禁忌になっています。

 

以上のように、今回は壊死組織の除去で使われる外用薬についてまとめました。