キネダック(一般名:エパルレスタット)はアルドース還元酵素阻害剤という薬で、糖尿病性末梢神経障害に伴う(しびれ、疼痛)に対して使用する薬です。
このキネダックは1日3回、毎食前に服用する薬です。通常、薬は食後に服用するのが一般的ですが、キネダックはなぜ食前に服用するのでしょうか?今回はキネダックを食前に服用する理由について書いていきます。
糖尿病と抹消神経障害の関係
糖尿病になり高血糖状態が続くと、様々な部位で合併症が出現します。『糖尿病の合併症③ 末梢神経障害』で書いたように、糖尿病の合併症にはしびれや痛みなどが出現する末梢神経障害があります。
高血糖で血液中のブドウ糖が過剰になると、神経細胞の中にソルビトールが蓄積します。蓄積したソルビトールは神経細胞を障害してしびれや痛みなどを引き起こします。
キネダックの作用機序
キネダックは、ブドウ糖からソルビトールを生成する酵素であるアルドース還元酵素の働きを阻害して、ソルビトールが神経細胞に蓄積されないように働きます。その結果、糖尿病によるしびれなどの神経障害を改善します。
キネダックはなぜ食前に飲むのか?
キネダックを食事の30分前に服薬すると、服薬1時間後に血中濃度が1番高くなります。一方、食事の30分後に服薬すると、服薬1時間半後に血中濃度が1番高くなります。また、それぞれの最高血中濃度を比べると食後に服薬した方が約30%低くなります。
キネダックを食事の30分前に服薬すると、食事による血糖上昇と同じタイミングで血中濃度が上昇し、最高血中濃度も食前に服薬する方が食後に服薬するより高くなります。また、キネダックの作用は血糖値に依存して効果が強く出現することから、キネダックは食後ではなく食前に服薬した方が効果がより期待できるため、食前に服薬するようにします。