『片頭痛④ 片頭痛の治療薬⑴』で書いたように、急性期片頭痛の治療薬としてはアセトアミノフェン、非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)、トリプタン、エルゴタミン、制吐薬があります。今回はトリプタンについてまとめていきます。
トリプタン
痛みが中等度~重度の場合や、アセトアミノフェンまたはNSAIDsで効果が得られない場合に使用します。
トリプタンはセロトニン受容体の5-HT1B/1D受容体作動薬として働き、痛みに対して効果を示します。
トリプタン服用のタイミングとしては、前兆期の服用では効果が乏しく、痛みが軽度の段階、または頭痛発作早期(発症1時間以内)が最も有効であるとされています。
トリプタンの種類
トリプタンには、スマトリプタン(商品名:イミグラン)、ゾルミトリプタン(商品名:ゾーミッグ)、エレトリプタン(商品名:レルパックス)、リザトリプタン(商品名:マクサルト)、ナラトリプタン(商品名:アマージ)があります。
各薬剤についてもう少し詳しくみていきます。
スマトリプタン(商品名:イミグラン)
内服錠の他に点鼻液、注射剤があります。
内服錠は頭痛発現時に1回1錠(50mg)服用し、効果不十分な場合は2時間間隔をあければ追加服用することができます。1錠で効果が不十分な場合は、次回発作時から2錠服用することもできます。1日の上限は4錠(200mg)になります。
点鼻液は頭痛発現時に1回20mg点鼻し、効果不十分な場合は2時間間隔をあけて20mg点鼻します。1日の上限は40mgです。
注射剤は頭痛発現時に1回3mg皮下注射します。1日の上限は6mgで、続けて注射する場合は間隔を1時間あけるようにします。
ゾルミトリプタン(商品名:ゾーミッグ)
内服錠とRM錠(口腔内速溶錠)があります。頭痛発現時に1回1錠(2.5mg)服用し、効果不十分な場合は2時間間隔をあければ追加服用することができます。1錠で効果が不十分な場合は、次回発作時から2錠服用することもできます。1日の上限は4錠(10mg)になります。
エレトリプタン(商品名:レルパックス)
頭痛発現時に1回1錠(20mg)服用し、効果不十分な場合は2時間間隔をあければ追加服用することができます。1錠で効果が不十分な場合は、次回発作時から2錠服用することもできます。1日の上限は2錠(40mg)になります。
リザトリプタン(商品名:マクサルト)
内服錠とRPD(口腔内崩壊錠)があります。頭痛発現時に1回1錠(10mg)服用し、効果不十分な場合は2時間間隔をあければ追加服用することができます。1日の上限は2錠(20mg)になります。
ナラトリプタン(商品名:アマージ)
他の薬と比べて半減期が長いため、他薬より長く効果が期待できます。頭痛発現時に1回1錠(2.5mg)服用し、効果不十分な場合は4時間間隔をあければ追加服用することができます。1日の上限は2錠(5mg)になります。
トリプタンの相互作用
トリプタンには相互作用に注意する薬があります。5-HT1B/1D受容体作動薬同士併用したり、エルゴタミン誘導体含有製剤と併用すると作用が増強する可能性があるため併用禁忌になっています。
それに加えて、イミグラン、ゾーミッグではMAO阻害剤との併用あるいはMAO阻害剤の中止後2週間以内のトリプタン服用、レルパックスではHIVプロテアーゼ阻害剤との併用、マクサルトではプロプラノロール(商品名:インデラル)との併用においてトリプタンの作用が増強する可能性があるため併用禁忌になっています。
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