片頭痛① 片頭痛の有病率と病態

片頭痛は、日本での15歳以上の有病率が8.4%の疾患です。片頭痛は大きく分けて、前兆がない片頭痛前兆がある片頭痛に分けられます。有病率8.4%のうち、前兆がない片頭痛は5.8%、前兆がある片頭痛は2.6%になります。また、片頭痛の有病率は20~40歳代の女性で高く、30歳代では20%にもなる疾患です。

前兆がない片頭痛

片頭痛の発作は4~72時間持続し、片側性、拍動性の頭痛で、日常動作で痛みが増悪すことが特徴です。また、随伴症状として悪心や光過敏や音過敏を伴うことがあります。

前兆がある片頭痛

通常5~20分にわたって進展して、持続時間が60分未満の前兆が見られることがあります。典型的な前兆としては、視覚症状、感覚症状、言語症状があります。

視覚症状には、陽性徴候と陰性徴候があります。陽性徴候の症状として、きらきらした点や線が見えることがあります。陰性徴候の症状としては、視覚の消失があります。

感覚症状にも陽性徴候(チクチクする感じ)と陰性徴候(感覚鈍磨)があります。

言語症状としては失語性言語症状がみられます。

片頭痛が起こるメカニズム

片頭痛が起こるメカニズムははっきりわかっておらず、脳幹上部が痛みの起源とされる中枢起源説と、脳血管や三叉神経終末が起源とされる末梢起源説の2つが提唱されています。

また、痛みの発現に一酸化窒素、ヒスタミン、セロトニン、グルタミン酸、ドパミン、CGRP(calcitonin gene-related peptide)などの化学物質が関与していることが明らかになっています。この中でも、特にセロトニンとその受容体である5-HT1B/1D受容体、三叉神経終末から放出されるCGRPが密接に関与しているとされています。

片頭痛の前兆が起こるメカニズム

典型的な片頭痛の前兆の発現には、皮質拡延性抑制(CSD:cortical spreading depression)という大脳皮質神経細胞の活動性異常が関与していると考えられています。

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