結核の治療薬

結核の治療はほとんどの場合、抗結核薬の内服による化学療法を行います。
結核の治療では、長期の継続した服薬が必要になります。また、耐性結核菌の出現を防ぐために、単剤ではなく数種類の薬を併用するのが基本で、選択する薬や服薬期間はガイドラインで定められています。
次に結核の治療薬をまとめていきます。

標準的な化学療法

リファジン(一般名:リファンピシン)+イスコチン(一般名:イソニアジド)+ピラマイド(一般名:ピラジナミド)の3種にエブトール(一般名:エタンブトール)またはストレプトマイシン(一般名同じ)を加えた4剤併用で2ヶ月服薬した後、リファジン+イスコチンを4ヶ月服薬します。

リファジン+イスコチンにエブトールまたはストレプトマイシンを加えた3剤併用で2ヶ月服薬後、リファジン+イスコチンを7ヶ月服薬します。
結核菌がリファジン、イスコチンに感受性があることが判明したら、3ヶ月以降はストレプトマイシン及びエブトールは中止します。

上に書いた①、②のうち、通常は治療期間が6ヶ月で済む①が行われますが、副作用などでピラマイドが使えない場合は②を行います。特に、肝硬変やC型肝炎などの肝障害を合併している患者さん、80歳以上の高齢者では重篤な薬剤性肝障害が起こる可能性があるので、最初から②を選択することがあります。

また、ストレプトマイシンによる胎児への第八脳神経障害の可能性があることと、ピラマイドの胎児への影響が不明なことから、妊婦さんに対しても最初から②を選択し、ストレプトマイシンでなくエブトールを使います。

耐性結核菌に感染した場合

リファジン、イスコチン、ストレプトマイシン、エブトールのどれかに耐性を持つ結核菌に感染した場合は、該当する抗結核薬をカナマイシン(一般名同じ)、ツベルミン(一般名:エチオナミド)、ツベラクチン(一般名:エンビオマイシン)、ニッパスカルシウム(一般名:パラアミノサリチル酸)、サイクロセリン(一般名同じ)、クラビット(一般名:レボフロキサシン)のうち感受性がある薬に変更します。

但し、アミノグリコシド系薬の併用は禁忌なので、ストレプトマイシン、カナマイシン、ツベラクチンの併用は避けるようにします。