認知症の診断基準

日本では、高齢化が進んで認知症の人がどんどん増えています。
認知症は、後天的な脳の障害によって認知機能が持続的に低下し、意識障害がない場合において日常・社会生活に支障をきたすようになった状態と定義されています。
認知症の診断基準には世界保健機関(WHO)によるICD-10や、米国精神学会によるDSM-Ⅲ-RDSM-Ⅳ-TRがあります。
それぞれの診断基準についてまとめてみます。

ICD-10

①記憶力の低下:新しいことに対する記憶力の明らかな低下、重症な場合では過去の情報が思い出せないなどで日常生活に支障をきたす。
②認知機能の低下:判断と思考に関する能力や情報処理能力の低下で日常生活に支障をきたす。
③意識の混濁がないこと。せん妄がある場合は診断を保留する。
④情緒易変性、易刺激性、無感情、社会的行動の粗雑化のうち1つ以上がある。
①②が明らかに6ヶ月以上存在して確定診断となる。

DSM-Ⅲ-R

①長期記憶・短期記憶の障害があり、仕事・社会生活・人間関係が損なわれる。
②抽象的思考の障害、判断の障害、高次皮質機能の障害(失語・失行・失認・構成障害)、性格の変化のうち1つ以上があり、仕事・社会生活・人間関係が損なわれる。
③意識障害がないこと。意識障害がある場合は診断をしない。
④病歴や検査から、脳の器質的疾患が推測できる。

DSM-Ⅳ-TR

①記憶障害(新しいことに対する記憶力の低下や、過去の情報を思い出せない)があり、病前の機能水準からの著しい低下を示し、社会的・職業的の著しい障害を引き起こす。
②失語(言語の障害)、失行(運動機能が障害されていないのに、運動行為自体が障害される)、失認(感覚機能が障害されていないのに、対象を認識することができない)、実行機能(計画を立てる、組織化する、順序立てる、抽象化する)の障害、のうち1つ以上が存在して、病前の機能水準からの著しい低下を示し、社会的・職業的の著しい障害を引き起こす。
①②がせん妄のない時に現れる。

それぞれの診断基準は以上のように要約されます。それぞれ微妙に違うところがありますが、基本的な要点としては、記憶障害・認知機能障害があったとしても、日常・社会生活に支障がある場合に認知症と診断基準され、日常・社会生活に支障がなければ認知症と判断しないということが挙げられます。