骨粗鬆症の治療薬 注射薬②、その他の薬剤

骨粗鬆症の治療薬には内服薬だけでなく、注射薬も存在します。

ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤

作用機序

骨を壊す破骨細胞にはRANK受容体というものが存在します。このRANK受容体にRANKLという物質が結合すると、破骨細胞が活性化して骨の破壊が促進されます。
ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤は、このRANK受容体に結合してRANKLの働きを阻害します。その結果、破骨細胞の活性化が抑えられて骨吸収が抑制されます。

分類される薬

この製剤には、プラリア皮下注60mg(一般名:デノスマブ)があります。これは6ヶ月に1回皮下注射する薬です。
低カルシウム血症の人、妊婦または妊娠している可能性のある人、本剤成分に対して過敏症の既往歴がある人は禁忌になっていますので服薬できません。

副作用

プラリアの重大な副作用に低カルシウム血症、顎骨壊死・顎骨骨髄炎があります。

低カルシウム血症に対しては、腎機能障害がない限りカルシウムやビタミンDの併用をします。この併用薬としてはデノタスチュアブルがあり、1日1回2錠服薬します。
顎骨壊死・顎骨骨髄炎に対しては、抜歯などの侵襲的な処置や感染に関連しているので、口腔内を清潔に保ち、定期的に歯科検査を受けて、服薬前に処置を済ませておく必要があります。もし処置が必要になったら、プラリアの服薬を休薬を考慮します。

ヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤

作用機序

骨形成の抑制因子であるスクレロスチンの働きを抑えて骨形成を促し、骨量減少を抑えて骨密度を増加させます。

分類される薬

イベニティ皮下注105mgシリンジ(一般名:ロモソズマブ)があります。この薬はロモソズマブとして210mgを1ヶ月に1回、12ヶ月皮下注射します。

低カルシウム血症の人、本剤成分に対して過敏症の既往歴がある人は禁忌のため服薬できません。

副作用

イベニティの重大な副作用には、低カルシウム血症、顎骨壊死・顎骨骨髄炎、大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折があります。

その他の薬剤

最後に、骨粗鬆症の治療薬のうち今までまとめた以外の薬、イプリフラボンについてまとめていきます。

イプリフラボン

イプリフラボンは化学合成されたフラボノイド系物質で、女性ホルモン様作用を示します。イプリフラボンは骨形成を促進する作用と骨吸収を抑制する作用を示し、骨粗鬆症における骨量減少の改善を目的として使用されます。
商品名としてはオステン錠200mgがあり、1日3回、1回1錠食後に服薬します。
イプリフラボンの重大な副作用に黄疸、消化性潰瘍・胃腸出血があります。異常が現れた時は、服薬を中止するなど適切な処置をする必要があります。