骨粗鬆症の原因になる病気

骨粗鬆症の原因は色々あります。もともとかかっている病気によって骨粗鬆症になることがあります。今回は骨粗鬆症の原因になる病気とそのメカニズムについてまとめていきます。

副甲状腺機能亢進症

副甲状腺機能亢進症では副甲状腺ホルモンが持続的に分泌される病気です。
骨は他の組織と同じように新陳代謝を繰り返していて、骨を作る過程(これを骨形成といいます)と骨を壊す過程(これを骨吸収といいます)をバランスよく行っています。
副甲状腺ホルモンには骨形成と骨吸収を共に促進する働きがあります。
副甲状腺ホルモンが間欠的に作用した場合は、骨形成の働きの方が骨吸収より強くなって骨密度が上昇します。
一方、副甲状腺ホルモンが持続的に作用した場合は、骨吸収の働きの方が骨形成よりも強くなって骨密度が低下します。副甲状腺機能亢進症の人は1.5〜3.5倍骨折しやすいといわれています。

甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンは骨吸収の働きを強くします。そのため、バセドウ病などの甲状腺機能亢進症の人、甲状腺機能低下症の治療中で過剰の甲状腺ホルモン補充を受けている人は骨密度が低下する傾向にあります。

クッシング症候群

クッシング症候群は副腎皮質ホルモンの1つであるコルチゾールが増えすぎる病気です。クッシング症候群になると骨折のリスクが数倍になるといわれています。

性腺機能低下症

閉経後では女性ホルモンであるエストロゲンが減少して骨粗鬆症になりやすくなります。性腺機能低下症は性ホルモンの働きが弱くなる病気なので、閉経後と同じ様な状態になって骨粗鬆症になりやすくなります。

糖尿病

高血糖状態では、高血糖により引き起こされる酸化ストレスの増強によって骨質が劣化する可能性があります。また、糖尿病でインスリン抵抗性が増大すると、骨を作る細胞である骨芽細胞の働きが低下して骨形成が抑制される可能性があります。

慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病になると続発的に様々な症状が引き起こされて、それが原因で骨粗鬆症になる可能性があります。副甲状腺機能亢進症、ビタミンD欠乏症、低カルシウム血症、高リン血症、慢性腎臓病に伴う栄養障害、酸化ストレスなどが引き起こされて骨折のリスクが高くなる可能性があります。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患とは、喫煙などの有害物質の吸入を長期間続けることで引き起こされる肺の慢性の炎症のことです。慢性閉塞性肺疾患では、慢性の炎症により骨吸収が促進されて骨折のリスクが高くなります。

関節リウマチ(RA)

関節リウマチは原因不明の慢性炎症性疾患で、多発性関節炎が引き起こされる女性に多い病気です。関節リウマチでは、異常な免疫反応が起こり軟骨が破壊されます。また、骨を破壊する細胞である破骨細胞の働きが強くなり、骨破壊が引き起こされて骨折のリスクが高くなります。

このように様々な病気が骨粗鬆症の原因になります。