骨粗鬆症の治療薬の1つである、ビスホスホネート製剤による重大な副作用の1つに顎骨壊死があります。今回はこの副作用についてまとめていきます。
顎骨壊死の症状
顎骨壊死の初期症状としては、歯肉腫脹、原因がはっきりしない歯肉感染、口腔粘膜潰瘍、膿瘍、歯の動揺、顎骨の知覚過敏、全身倦怠感、発熱などがあり、典型的な症状として抜歯部の疼痛と骨の露出があります。
原因と予防
侵襲的な処置
ビスホスホネート製剤による顎骨壊死は、抜歯などの歯科処置、外傷、被せ物などによる歯槽粘膜の外傷性潰瘍などが原因となり、顎骨の露出がみられた場合に起こりやすく、ビスホスホネート製剤の服用期間が長いほど起こりやすい副作用です。
上顎よりも下顎に起こりやすい副作用で、歯科処置として抜歯の他にインプラント埋入手術、歯周外科処置などの侵襲的な処置を行なった場合にも顎骨壊死が起こる可能性が高くなります。
侵襲的な処置を行う場合は、処置の3ヶ月間からビスホスホネート製剤を中止することで顎骨壊死の発生率を低下させることができます。
また、侵襲的な処置を行った後にビスホスホネート製剤の服用を開始する場合は、抜歯の場合は抜歯窩が上皮化する2〜3週間後をめどに服用の開始を行うようにします。
口腔内環境
口腔内を不衛生な状態にしておくと、歯垢や歯石が溜まっていき歯周炎になります。歯周炎になると、いずれ抜歯が必要になり、顎骨壊死につながることもあるので、口腔内の清掃状態を良くしておくことも大切です。
化学療法、併用薬
癌の化学療法や、副腎皮質ステロイド服用で起こりやすくなります。
糖尿病:糖尿病では、骨の微小血管が虚血傾向にあることなどから顎骨壊死が起こりやすくなります。