骨粗鬆症の治療薬として選択的エストロゲンモジュレーター(SERM)という薬があります。
作用機序
この種類に分類される薬は、骨に対しては卵胞ホルモンであるエストロゲンと同様の作用を示しますが、子宮や乳房には作用しないように作られています。
そのため、エストロゲン製剤に見られる子宮や乳房に対する副作用が起こりにくいとされています。
分類される薬
この選択的エストロゲンモジュレーターに分類される薬としてはエビスタ(一般名:ラロキシフェン)、ビビアント(一般名:バゼドキシフェン)があります。
エビスタ、ビビアント共に1日1回、1回1錠服薬する薬です。
副作用
SERMの重大な副作用の1つとしては、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症など)があります。長期の安静などで体を動かすことがなくなると、この副作用がより起こりやすくなるので、安静状態に入る3日前から歩けるようになるまでの間は服薬を中止することが薦められます。
静脈血栓塞栓症の症状には下肢の痛み、浮腫、息切れ、呼吸困難、胸痛、視力障害などがあり、これらの症状が現れたら服薬を中止することが望まれます。
禁忌患者
この薬の禁忌として、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症など)の人やその既往歴がある人はこれらの症状が増悪することがあるので服薬できません。
その他に本剤成分に対して過敏症の既往歴がある人、長期の不動状態にある人(手術後の安静期など)、抗リン脂質抗体症候群の人、妊婦または妊娠している可能性のある人や授乳中の人も禁忌になっているため服薬できません。