ビスホスホネート製剤による顎骨壊死②

ビスホスホネート製剤で顎骨壊死がなぜ起こるのか。今回はビスホスホネート製剤によって引き起こされる顎骨壊死のメカニズムについてまとめていきます。

ビスホスホネート製剤の作用機序

体内に入ったビスホスホネート製剤は、骨組織の破骨細胞に取り込まれると、破骨細胞のアポトーシス誘導、②前駆細胞から破骨細胞への分化阻害、③破骨細胞の活性阻害、④骨微細構造の変化、⑤抗血管新生などの作用を示し、骨吸収が阻害されて骨粗鬆症の進行抑制に効果を表します。

顎骨壊死の発生機序

しかしながら、歯周疾患に関連する骨吸収がビスホスホネート製剤で阻害されると組織障害や組織への血液供給不足が引き起こされて骨壊死に至ります。また、顎骨に対して抗血管新生作用を示すことで、直接的に顎骨への血流供給低下、修復能の低下がもたらされて骨壊死が引き起こされます。

薬ごとの骨吸収作用の強さの違い

今はあまり使われなくなっているダイドロネル(一般名:エチドロン酸)の骨吸収作用の強さを1とすると、ボナロン、フォサマック(一般名:共にアレンドロン酸)は100~1000、アクトネル、ベネット(一般名:共にリセドロン酸)は10000倍の活性があります。

また、経口用ビスホスホネート製剤の消化管からの吸収は1%ですが、静注用ビスホスホネート製剤は50%が骨基質に取り込まれます。