横紋筋融解症②

『横紋筋融解症①』では、横紋筋融解症の症状や検査所見、副作用以外の原因、治療法についてみましたが、今回は副作用として横紋筋融解症を引き起こす薬についてみていきます。

HMG-CoA還元酵素阻害薬

HMG-CoA還元酵素阻害薬は脂質異常症(高脂血症)に用いられる薬で、横紋筋融解症を引き起こす可能性が一番高い薬です。HMG-CoA還元酵素阻害薬には、アトルバスタチン(商品名:リピトール)、ピタバスタチン(商品名:リバロ)、ロスバスタチン(商品名:クレストール)、プラバスタチン(商品名:メバロチン)、シンバスタチン(商品名:リポバス、ラミアン)、フルバスタチン(商品名:ローコール)があります。

HMG-CoA還元酵素阻害薬による横紋筋融解症は、服用開始後数ヶ月経ってから少しずつ発症することが多いです。症状としては筋肉痛が早期に現れることが多く、末梢神経障害を伴うこともありますが、症状の重症度には個人差があります。

また、フィブラート系高脂血症薬、ニコチン酸誘導体、免疫抑制剤のシクロスポリンやマクロライド系抗生物質のエリスロマイシンなどと併用すると横紋筋融解症の発現頻度が高くなることが知られています。

アトルバスタチンシンバスタチンCYP3A4という代謝酵素で代謝されるため、このCYP3A4の働きを阻害する薬(例えばマクロライド系抗生物質)との併用には注意が必要です。

フィブラート系高脂血症薬

フィブラート系高脂血症薬も、HMG-CoA還元酵素阻害薬より頻度は少ないですが横紋筋融解症の原因になります。服薬開始してから数ヶ月から2年の間に発症することが多く、HMG-CoA還元酵素阻害薬と併用すると発現頻度が高くなることが知られています。

フィブラート系高脂血症薬には、ベザフィブラート(商品名:ベザトールSR)、フェノフィブラート(商品名:トライコア、リピディル)、ペマフィブラート(商品名:パルモディア)があります。

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