褥瘡とは、体のある部分に圧力がかかり、骨と皮膚の間の軟部組織の血流が一定時間低下して組織が損傷した状態です。
褥瘡は、床ずれともいわれ、自分自身での体位変換が困難な高齢者に多くみられる疾患です。その好発部位としては、皮下脂肪組織が少なく、骨が突出している後頭部、肩甲骨、肘頭部、仙骨部、腸骨部、大転子部、坐骨部、踵骨部などがあり、これらの部位に長時間圧力がかからないようにする必要があります。
予防方法
褥瘡の予防や進行抑制のためには、体位変換やスキンケア、栄養管理などを行うことが重要です。
それぞれの予防方法について詳しくみていきます。
体位変換
体にかかる圧力を分散させるために重要です。減圧マットレスを使用している場合は2〜4時間毎、減圧効果がないマットレスを使用している場合は2時間毎の体位変換が効果的です。
また、自身で体を動かせるようにリハビリを行うことも重要です。
スキンケア
スキンケアは重要で、特に便・尿失禁がある場合には、洗浄剤による洗浄と、皮膚の保護のためのクリームなどを肛門から臀部の皮膚に使用すると効果的です。
栄養管理
栄養の評価を行って、適切な栄養管理を行うことが重要です。
褥瘡の発生に関与する栄養素として特に重要なものはタンパク質で、評価を行うための指標として、血清アルブミン値、体重、喫食率などがあります。
血清アルブミン値が3.5mg/dL以下では褥瘡の発生リスクが高くなります。
体重でみると、6ヶ月以内に起こった原因不明の体重減少は、低栄養状態を示す指標になります。
喫喫食率は食事摂取量を表していて、出された食事をどの位食べたかをみる指標です。50%以下になると褥瘡発生のリスクが高まります。
口腔内の状態や嚥下機能も喫食率の低下に関与するので、定期的な歯科受診や嚥下機能の評価を行うことも大切です。
褥瘡の予防に必要とされる体重1kgあたりの1日の栄養量の目安としては、エネルギーは30〜35kcal、タンパク質は1〜1.5g、水分30〜50mLとされています。
但し、合併症によってこれらの摂取量が制限されることもあります。
以上のように、今回は褥瘡の予防方法についてまとめました。